日和ってる奴はだいたい友達 ⑥
丞が情報を少年達に共有してくれていたので話は早かった
いま0世界で起きていること、空海、晴明、最澄が具現化可能な状態で存在していること死んでいる身では力にも限界があり現在の自分達と相談できないかと言っていることを説明した
優弦が眉を寄せて
「あのさ、過去の俺達、成仏してないんじゃないよな?」
夏向と陵介はかくりよの皆を思い出して吹き出した
「あはっ、ごめんそんなタイプの人達じゃないもんだから」
笑ったことを詫びながら続ける
「やり足りないことはいっぱいありそうだけど未練で出てきた幽霊感はまったくないよ」
〈 下手に生きてる人間より生き生きしてるくらいだ 〉
裏防衛省は死後の人間と関わることが多いが永い年月が経つと意志疎通は困難なことが多く空海、晴明、最澄のような状態は珍しい
明澄はふーんと斜め上を眺めながら
「かくりよ組?の人達が侵略者追い払えてるってことは何らかの能力者ですよね?」
夏向も陵介も軽い返事をしながら頷く
優弦が、あれっという動作で
「丞先生、俺達の能力のことは言ったのか?」
「いやまだだよ、直接のほうがいいと思ってたから」
優弦が夏向達のほうに向き直る
「これってあわよくば敵を止める手伝いをしてほしい的な話だろ?魔法の力を期待してるなら俺達ほとんど使えないよ?」
5世界の人達はすべての人が魔法を使えると思っていた2人は少しの間呆然とした
海空が呟きながら何か探す
〈 0じゃないんだけど、んー優弦さっきのお菓子の箱貸してくれ 〉
見ててと言いながらお菓子の箱をテーブルに立てた、箱に向かって右手を出すと一瞬光って箱が倒れた、その箱を明澄が顔の横に上げた右手に吸い寄せて見せた
海空の後ろからお菓子を優弦に戻しながら明澄が
「あの…精一杯がこれくらいと思ってくれれば解りやすいと思います」
優弦が頬杖をつく
「あと…俺達、飛べるくらいだよな、連れていくならストーン使いのほうが絶対いいよ」
この世界の人間は得意な魔法を最大限に引き出すことに石を使う、小さい頃に専門家に相性の良い石を選んでもらい石に力を込めてより強い魔法を発動させる、キーホルダー、ネックレス、杖、いろいろタイプがあるが別にそのままでもいい、もともと商品として売られているものもあるが魔法を使えない人間が使用する場合、力の増強はなくそれ以上もそれ以下もなく普通に使用できるだけだ
丞がちなみに僕はと言いながら石を取り出す
「桜石です、僕はヒーリング系の魔法が得意ですね あ、あとあんまり使わないですけど防御陣とか見ますか」
最初は石を持たずに陣を出した それは手のひらサイズの小さなものだった陣を出したまま石を手にすると石が暖色系にふんわりと光り、すると全身が隠せるほどの大きさになった
「力の増し方は人それぞれです、僕も強いほうじゃありません、まぁこの世界は魔法なしでも生きていけますから強弱は問題ないですけどね」
「でもガキの頃は俺ってしょぼいなって本気で悩んだぜ」
海空がため息まじりに言った
〈〈 ほんとそれな 〉〉
優弦と明澄も深く頷く