日和ってる奴はだいたい友達 ⑪

日和ってる奴はだいたい友達 ⑪

 

温かい風呂に入りリビングダイニングにやや魂が抜けたように少年3人は座っていた、野田が温かいベルガモットティーを入れてくれた、カップを口元に近付けるとハチミツと柑橘系の香りが3人を落ち着かせた、飲みながら部屋の中を見ると現代風の部分と擬洋風建築というのだろうか何か懐かしい気持ちにさせられる部分のある部屋だった

0世界に到着したときに落ちた滝は美月家の庭にある、広い敷地にレトロな洋館が2棟ありリノベーションしながら住んでいる現代とレトロな部分があちこちに混在する館だ

 

野田が用意してくれた豚汁とおにぎりを食べていると、夏向と陵介がリビングダイニングに顔を覗かせた

「俺達は職場に報告に行ってくるから皆は先に休んでてね」

陵介はキッチンの方に足早に向かう

「野田さん、後よろしくー」

はーい、という返事とともに差し入れを陵介に渡している、もらった差し入れの紙袋を提げて少年達の横を通りすぎていく

「んじゃ、お前ら今日はゆっくり休めよ」

2人ははらはらと手を振ってここから徒歩3分の職場に向かっていった

 

旨い食べ物で3人は気が緩み眠くなってきた、それに気がついた野田が声をかける

「今日は疲れたよね、早めに休もう部屋に案内するよ」

渡り廊下を渡りもう1つの建物のレトロな階段を上って2階へ、部屋は8部屋あり、そのうちの使えるようにしてある3部屋の前に立った

「この3部屋は必要そうなもの用意しておいたけど足らないものあったら言って」

3人は立っていたところから近い部屋に向かう

「「「ありがとう野田さん、おやすみー」」」

そう言って部屋に入っていった、が、秒でドアが開いた

「「「うわーあぁあああー」」」

戻ろうとした野田の前にすごい勢いで走ってきた

「野田さん!なんかいっぱいいるっ!でっかいのいるっ!」

「うわーっ、海空、そのでっかいやつが頭にのってんぞ!刺激すんなよ?」

「え?何?どうしたいのこれ?僕達捕食されちゃうの?」

野田はさほど驚いた様子もなく

「あぁ、ずっと使っていなかった部屋だから寝床になってたのかな、危険はないから大丈夫、化保護猫だよ」

「「「化け…」」」

「そうだよ、いろんな理由で成仏できていない化保護猫でね、美月家で成仏するまで預かってるんだ、巨大になったのは君達にびっくりしちゃっただけだと思うよ」

そっか、と海空が頭にのっている猫のほっぺあたりを手を伸ばして撫でた

「びっくりさせて悪かったな、俺達も一緒に寝ていいか?ん?」

はにゃーんとないてシュルシュルと普通サイズになった

ストンと床に降りると3つの部屋の方に向かってにゃーんとまたないた

3つの扉から普通サイズになった猫が何匹か顔を出した他の猫も戻してくれたようだ

「おっ、頼んでくれたのか?ありがとな」

「なんだ、いいやつじゃん、さて寝るか」

「ねぇ?2人とももう平気な顔してるけど化猫だよ?大丈夫なの?」

「同じ布団で寝るやつに悪い奴はいねぇって」

「モフモフならなおのこと大丈夫だな」

「いや、ちょっと何言ってるかわかんない」

3人は野田にもう一度(おやすみ)といって部屋に戻った