日和ってる奴はだいたい友達①
宇宙人にでも会ったことがない限り人が住んでいる空間は今自分がいるこの世界だけだと思ってしまうものだ
だが、残された古い資料によるとずっと続いている全てのもととなっている主軸世界(0世界)があり長い時の中で分裂し生まれた世界が存在すると記されている
0世界と分裂した世界の間に往来があった頃の記録によると確認できている限りでは5つの世界が存在する
その中のひとつ第5世界に長い時を経て訪問しようとしている者がいた。
「あ"ー…気持ち悪ぃいい」
自分が作製したものであるが、その最悪な乗り心地?というのか?…に陵介はしばしうつむいていたが直ぐに連れが心配になり目線を動かした斜め後ろにうなだれているのを見つけ声をかけた
「おい夏向!大丈夫そうか?」
なんとも言い難い表情をしている、ぶっつけ本番の他世界リープにずっと生きた心地がしていない
「これ凄く気持ち悪いね…竹輪の中を一瞬で通されるみたいな感じだよ」
「でもまぁ、生きてて良かったなマジで」
リープでおかしな感覚のまま2人は そうか他世界にリープできたのか と目的を思い出した
見知らぬ地の風が2人の頬に触れ無意識に深く吸い込んでゆっくりと顔を上げた、いくつかの道が交差する中央広場のような場所だ、その真ん中に建てられた石像の台座に軽く腰掛けながら周りを見回すと自分達の世界と服装が変わらない人達が見受けられる2人は自分達が浮いてないことが確認できて少しほっとした資料では0世界ととても似ていると記されているが現在のことなど来てみるまで解らなかった。
「いきなり怪しい奴扱いで拘束されるとかはなさそうだな、でもここであってるのか…」
通信機器の状況を確認しつつ位置の設定に自信のなかった陵介が呟く
「あってるみたいだよ」
上を見ながら夏向が指さす
そこには男性の石像が片手で高く上げたプレートに ―kyoto― と書かれていた
〈 わかりやすっ 〉
どうやらここが第5世界の京都らしい2人の先祖をさかのぼると第5世界の人がいるのだ家に保管されていた資料を読んでここまで来たが第5世界が実在しているのだということに驚いていた。
「やっぱり通信はできなくなったなぁ~…本当に別の世界なんだな」
一通り試してみたが通信は無理なようだ想定内だが心細い状況である
「まぁ そうだろうね正直ここに着いたの奇跡だしよしとしようよ」
「だな、で?どうするか」
石像の反対側のプレートが気になって見ていた夏向が陵介を呼ぶ、それはこの町の地図だった
「これみて陵介、俺たちが住んでる京都と地図は似てるよね?」
陵介も一緒に地図を覗き込んだ、いま立っている広場を中心に碁盤の目のようになっている
「ほんとだな、これなら今回の目的の一つ桜香高校訪問はすぐクリアかなぁ」
「俺たちの世界と同じような位置に行ってみようか?えーと桜香高校に行くには…」
PCの自分達の地図と比べながら呟くと目の前に半透明のプレートに→が浮かんだ案内が自動で始まったようだ
〈〈 こっちの交通案内すごい! 〉〉
2人が動くと→も動く
「陵介、これも魔法で動いてるのかな」
「やっぱ不思議なもん多いな歩きながら動画も撮っとこう」
0世界にも欲しいと感心しながら矢印についていく地図をみなくてすむので周りをみる余裕ができ少々観光気分で2人は歩きだす。