日和ってる奴はだいたい友達 20

日和ってる奴はだいたい友達 20

 

じゃんけんに負けてみんなの分のサンドイッチとコーヒーを買って後から来た優弦が部屋に入ろうとして躊躇した、天星の怒鳴り声が聞こえたからだ

「0か100しかねえのか?おめえらガキかコノヤロウ、一気に電池切れしやがってからに、特に夏向と陵介、一緒んなってへばってんじゃねえっつの」

ドアわきで面倒くさそうな空気を感じ取った優弦はそっとその場を離れ藤堂が働くエリアに向かった、藤堂が座る席横のキャビネットにテイクアウトトレーを置いた

藤堂が気づいて顔を上げた

「おはよ、他の奴らはどした?」

優弦はトレーを指した

「おはよ、俺だけカイザー寄ってサンドイッチとコーヒー買ってたから、藤堂さんの分もあるよ」

藤堂は(お、サンキュ)と言って立ち上がってサンドイッチとコーヒーをとってキャビネットをテーブル代わりにしコーヒーに少しミルクを入れた

「あ、もしかして他の奴ら天星に怒こられてた?」

「うん、怒鳴り声が聞こえたからこっちきた、迷惑かけたっぽいな、わりい、チラっと聞こえたんだけど夏向さんと陵介さんもぶっ倒れたのか?」

「そーそー」

そういいながらスマホの写真を見せた、詩音にお姫様抱っこされた陵介と雑に運ばれてる自分達が写っていた

「ふはっ、まさか全員でへばってるとはな」

 

昨日の午後、体力を測る目的もあって裏防衛省敷地内倉庫のバスケットコートで試合をすることになった、うつしよの少年達と夏向、陵介、天星、藤堂がバスケ経験者だったこと、夏向、陵介はインターハイウインターカップ優勝経験があることを聞いていた少年達は一緒にプレイしたいと頼んでおり早速その機会がやってきたのだった、そして、うつしよ組(夏向、陵介、海空、優弦、明澄 ) VS かくりよ組(空海、晴明、最澄、天星、藤堂)で行うこととなったのだが、うつしよ組はエネルギー枯渇により第4Q残り1分30秒ほどのところでバタバタと倒れてしまったのだ

 

藤堂はキャビネットに肘をつきコーヒーを飲みながら昨日のゲームを思い出した

「もー、お前ら強さが反則、ゾーンどころじゃねえのな、5人とも容赦ねえし、3Pラインダンクとか普通にやるし、なんか天使の微笑みで悪魔のようなダンク何度もぶちかまされるし、途中から観戦状態だったわ俺」

「チーム全員があーゆう波動ってないからすげえ気持ちよかった、特に海空はずっと本気でプレイできてなかったから楽しそうで良かったよ」

「ん?手抜いてたの?なんで?」

「そういうんじゃないんだけど、向こう(5世界)は魔法NGのスポーツって人気なくて部員少ないからさ、子供の頃も中学ん時も海空は早くからキャプテンやっててゲームメイクに気を使ってたんだよ、藤堂さんが言ったみたいに他のメンバーが観戦状態にならないようにしてたっていうか、俺と明澄は好きにプレイさせてくれてたんだけどさ、今回は夏向さんも陵介さんも最初から魂上がってたから気遣い必要なしでやれたんだ」

「あー、確かにな、俺らも空海さん達が覚醒?完全にスイッチ入った第2Q途中から俺と天星ボールほぼ触れてねえもんなぁ、手え出せなかった、まったくついていけなかったからな、部活でそうだとつまんなくなって辞める奴いそうだもんな」

優弦はコーヒーカップの蓋の吸い込み口を確認しながら眉をハの字にした

「でしょ?人数いないと、数少ない試合にも出らんないしね」

「そういう意味じゃ夏向も高校時代気を使ってたのかなぁ、昨日のほうが容赦なかったし楽しさが全開だったなあいつ」

少し遠くからワイワイと話声が聞こえてきた、まだしつこく小言を言っている天星の声も近付いてくる

海空が優弦に気がついてハイタッチした

「あ、優弦こっちに逃げてたんだな正解っ、聞けよ先輩達ずるいんだぜバスケの時さ具現化の応用でスタイル寄せできるらしくてNBA選手寄せでプレイしてたんだぜ、空海先輩はステフィン・カリー、最澄先輩はレブロン・ジェームズ、晴明先輩はディアンジェロラッセルだって強ええはずだよな」

空海がなに言ってんだって顔をしている

「寄せても自分が混ざるから仕上がりは別者100にはなんねえよ、それにあのまま最後までやってもお前ら勝ってただろうが、第1、2Qでえげつねえ点差にしやがってよ」

晴明が口を尖らせた

「もう少し早く自分のもんにできて完成度があがってればなー、悔しっ、次は頭から容赦しねえ」

最澄も悔しそうだ

「動画ももっと見とけばよかった、でも楽しかったな、またやろうよ」

明澄が真面目な顔で

「悔しがってますけど、へばったので僕たちの敗けですよ?」

あっ!と海空が好奇心いっぱいの表情で

「ちなみにサッカーだったら誰寄せするんだ?興味あるんだが?」

最澄が取られないぞと言わんばかりに素早く答えた

「三笘 薫選手寄せでいかせてもらうよ」

「ああっ、そこいかれた、最ちゃん早ええよ、んーメッシ選手で」

「じゃあ俺はクリスティアーノ・ロナウド選手でいこうかな」

みんなの顔がこれは楽しいゲームになりそうだという表情になった

空海が天星のほうを見て不敵に笑った

「よーし、のってきた今度サッカーもやろう、あ、藤堂はこっちな、天星お前はあと10人揃えろゲームしようぜ」

天星は勘弁してくれという表情で顔を押さえた

「ちょっと待てえ、そんな高次元でプレイする奴ばっかいる化物チーム相手にしろっていうのかよ?脳ミソ鬼でできてんのか?このやろう、ってかなんで俺だけ敵だよ?」

夏向がにっこりと微笑んだ

「兄さん大丈夫ですよ?俺サッカーは授業でやったことあるってくらいですから」

他の皆も俺もだと頷いた

「イヤイヤイヤ、そうだとしても騙されねえよ、俺は知ってる、いざやるとなると絶対えげつねえレベルの仕上がりにしてくることをよ、夏向だけじゃねえ、お前ら全員そういう匂いがプンプンしてんだよ」

晴明が(あれっ)と空海のほうをみた

空海、控えも欲しいし人数たりないよ、あと誰かいるかな」

空海は心当たりのある顔だ

美凪平安神宮のとこで蹴鞠やってる幽霊の麿眉くん3人いるじゃん誘おうぜ」

「いいじゃん、マロくん達、具現化可能だよな、たぶん」

天星が仁王立ちになっている

「どいつもこいつも人の話を聞かねえな、勝手に話進めんじゃねえよ、、あん、待てよ、表の防衛省のサッカー部にこのメンバーぶつけてボッコボコってのもありか、、」

それをみて藤堂が注意した

「おい、悪い顔になってるぞ?、、そうだ皆うつしよ組の魔法習得に協力するトレーニング合宿の準備、手伝いよろしく、俺フィジカルトレーナーの資格もあることだし一緒に行ってサポートすることになってるから、空海さん達の話聞いてるとフィジカルも大事みたいだからガチ部活合宿みたいになると思う」

未だ納得いかない天星をよそに皆、はーいと返事を返した