日和ってる奴はだいたい友達 21

日和ってる奴はだいたい友達 21

 

天星は目覚めた時、しばらく天井を見つめた、、(どっちだ…)細く息をはいた、ここのところ毎日のようにやってくる侵略者の対策におわれ、ずっと職場の仮眠室で寝ていたのだ家なのか職場なのか一瞬迷ってしまった、(ダリぃ)ゆっくりと起き上がりクローゼットの前に立った(職場に置いてあったスーツクリーニングに出したんだっけ、持っていかないとか)あくびをしながら着替えてリビングダイニングに向かった

「「おはよう」」

天星に気づき先に起きていた父、悠一郎と母の天音が朝食をとりながら声をかける

「おはよ、家の朝、久々な気がする…うわ、テーブルのうえ、朝メシの量じゃねえくらいのってんな?」

野田が汁物をわきに置いて微笑んだ

「育ち盛りがいますからね」

「そうだったな」

野田は汁物を配り終えたトレーをキッチンカウンターにおき、化保護猫シェルターも兼ねた屋根付きウッドデッキに猫のご飯を用意して何処というわけでもなく少し声を張って呼んだ

「いっちゃーん、タコくーん、ごはんだよーっ、皆にも伝えてー」

米を口に運びながら天星が(うん?)と怪訝な顔をした

「いっちゃん?タコくん?そんな奴ウチにいたっけ?」

食卓に座っていた3人の足に柔らかく激突してくる複数の生き物に気がついた

(ふふ、きたね)野田が3人の足元を見ながら説明した

「このハチワレの子が、いっちゃん、天星さんの足元にいる子がタコくんです、この子達に言うと他の猫ちゃん達にも伝えてくれるんですよ」

天星も悠一郎も驚いている

「この化け猫ちゃん達コミュニケとれんの?ムリなんだと思ってた」

「5世界の少年達が来てからですかね、言ってることがよくわかるのはいっちゃんとタコくんですけど他の子達も表情が出てきてます、甘えるようになりましたし」

天星は足元を見て首をかしげた

「こいつ、なんでタコなんだ?」

「海空くんが言うには、この子だけしっぽが8つに割れてるらしいですよ、他の子は5つみたいですね」

ネーミングセンスを哀れに思いながらタコくんを撫でた

「猫的にはタコでいいのかよ、ん?」

タコくんはグレーと白のボーダーのポムポムのしっぽを扇のように広げてみせた

「あはっ、なんでドヤ顔なんだよ、、うん、かっこいいぞ」

悠一郎と天音は猫達を撫でながら思わず笑った

「きっとあの子達もそんな風にいっぱい話して褒めたんじゃないかな?嬉しそうじゃないか、徐々にでも成仏してくれるといいね」

猫で両親がいることを一瞬忘れた天星は少し赤くなった

 

廊下から賑やかな声がだんだん近付いてくる

〈 もう、なかなか起きないから 〉

「「「おはよー」」」

続いて夏向と陵介もリビングダイニングに入ってくる

「「おはようございます」」

「「「おはよ」」」

海空がキッチンの野田に声をかけた

「野田さん、ごめんコーヒーもらっていい?俺ら藤堂さんの手伝いであんま時間なさげだから」

それを聞いた悠一郎が席を立った

「合宿の荷物の積込?俺が代わりに行くよ、皆朝ごはんちゃんと食べてね、ゆっくりでいいよ」

天星も席を立った

「親父、俺も行くよ、お前らちゃんと食え、メシに手えぬくな大事だぞ」

天音も時間を見て席を立った

「私もでなきゃ、悠一郎さん、皆の体調に変化があればいつでもリープブレス借りて即行くからって藤堂くんに伝えて置いて」

「OK、忙しいだろうけど宜しく頼むね」

天星が夏向と陵介の前を通りすぎるとき頭をコツン、コツンとゲンコツした

「親御さんに任されてるんだろ?ちゃんとしろ、朝方までゲームさすんじゃねえよ、体壊したら何一つ楽しめねえぞ、楽しみ尽くすために何でもほどほどにすること教えてやれ」

〈〈〈 なんでばれてんの?ゲーム止まんなかったこと 〉〉〉

少年達は申し訳なさそうに夏向と陵介をみる

海空は小声になって自分達のせいで怒られた2人に詫びた

「俺らのせいで、マジごめんな」

「ごめん」

「ごめんなさい」

夏向と陵介は首をふった

「こっちこそ、途中で寝落ちして寝ようって言えなかったね、ごめん」

「俺もだー、寝落ちた、ごめんっ!お前ら寝不足で充血してるよ」

〈〈〈 マジか、ばれたのそれ? 〉〉〉

なんだかしょんぼりしているがモグモグと口は元気に動いていておかわりもした、心とは裏腹にテーブルの上は綺麗に更地になっていった