日和ってる奴はだいたい友達 ⑲
買い物をしたあと、おはぎを買って帰ろうと4条通を皆で歩いていた、つぶあんとこしあんがどうとか、たわいもない会話を楽しんでいる
海空が斜め前を歩く最澄に声をかけた、(ん?)と首をかしげながら半歩待って歩調を合わせて海空に並んだ
「なんかさあ、俺、最澄先輩が偉いお坊さんだったっていうのはなんか納得なんだけどさ、空海先輩は違う気がすんだよな、ほんとかよって思うんだけど生きてた時期一緒だろ、知ってる?」
「あはは、そんな感じしない?でもね、ほんとほんと、カリスマ性もあるしすごかったんだよ、でもそうだな時代がいまだったらなってるかなあ?、空海ね具現化してすぐYouTuberやりたいって俺と晴明、巻き添え食ったんだよね、昔は他者に発信できる職とか方法が少なかったから僧になったって気がしないでもないよねぇ」
「マジか、ちなみにYouTubeどんな?」
「おっさん3人がただ飲んだくれて話してる動画かな」
「ははっ、なんだよそれ」
「視聴者は解んないけど俺らはけっこう楽しかったよ、コメントの相談に答えたりしてね、まあ、酔っぱらいの解答なんだけど晴明や空海の話が俺はおもしろくて、笑ってばっかりだった、思い出すなぁ、ふふっ」
話ながら店の前で会計待ちしてる皆に追いついた、店の外から夏向に(それも買ってくれよ)と言っている空海に聞いてみる
「空海先輩っていまなりたいもんとかあんの?」
(急に何だ)と呟きつつも、うーん、と腕を組んで少し考え顔で宙を見た
「そだな、なれんならヒーローかな、その1つになんかいろいろ全部ひっくるめて入ってるだろ?そんなかに、な、思わね?」
晴明と最澄ものった
「「なんかいいねー、ヒーロー」」
「ふーん、先輩達そうなのか?、いまも十分ヒーローじゃね?まあ、でもなれよヒーロー協力するぜ?、俺はどっちかっていうとザコ?モブ希望だから引き立てやってやんよ?」
優弦も明澄も同意する
「俺もモブで」
「僕もモブ希望です」
それは夏向と陵介もだった
「俺もモブやるし」
「俺もモブです、協力しますよ」
脇はガチガチにカタマったようである
モブだらけであることに、かくりよ組の3人は解せなかった
晴明が手分けして持つ荷物を受け取りながら疑問をぶつける
「おい、空海、最ちゃん、現在の俺たち欲が無さすぎないか?」
ほんとだよなという空気の中、海空がつっこむ
「仏教って、欲ダメなんじゃないのかよ?教科書で読んだことあるぜ」
空海も(荷物持つぜ)と手を出しながら疑問に答える
「いやあ…ぶっちゃけある意味かなりの欲がないと歴史に名を残すほどのことはできねえと思うが?、何かやりとげるのも欲の種類の1つだろ」
晴明もうんうんと首を軽く縦にふる
「そーそ、悪い欲ばかりじゃないよ、必要な欲もあるさ、なかったら1000年前の歴史的建造物もない、それこそ現代のガスも電気もない、追求もあったらいいなって気持ちも欲じゃん?発展のエネルギー元だと思うけどな」
明澄は意外だったようだ
「そうなんですねー、欲とえげつなさってセットで悪いイメージな気がしてたけど素敵な欲もあるんですね、勉強になります」
家に向かって歩き出そうとしたとき最澄がとなりにいた空海と眼を合わせる
「残りカスのエネルギーで動いてる死んでる俺達じゃなくて、いまの俺達がなってくれるほうがいいのにね?、ヒーロー」
「そうだけどよ、働き方改革ってやつだろ、ヒーロー残業とか多そうなイメージだからな、今はなりたい奴少ないんじゃね?まずよ、敵ってさアポ入れてこねえだろ?俺だって予定たたねえし、やっぱカチンとくるのよ、勝手にくる上にだよ?当たれば即お迎えが来そうなのぶつけてきやがるし、なってねえっての、お前が苦行して躾なおせよコノヤロウだよな?、まあ、アポもとって攻撃しても宜しいでしょうか?って上品な奴はそもそも敵になってねえわな、、あっ、やっべ俺ヒーローなりたいっつったクセに超愚痴ったわ、わりい最ちゃん、ははっ」
最澄はなんだかツボにはまってしまい笑った、別にヒーローになりたいのは嘘じゃないだろうに、そんなこと考えてたんだ人間だねと可笑しくなったのだ
「今度、「来る時は言ってからこいよ」って敵に話してみようか」
「いやあ、できればそれはさ、これから敵とも付き合って向き合っていかなきゃならないあいつらに任せたいんだよな」
帰るまで待てず、おはぎのつまみ食いでわーわーやってる前を歩く皆を眺めた
最澄はにっと笑い
「うん、そうだね、じゃあ俺達は頑張ってヤジでも飛ばそうかね?」
「おう、援護する、ヤジ、得意だっつの」
とりあえず、いまは持っているおはぎは守らなければと思う2人だった