日和ってる奴はだいたい友達 ⑩
ー 中央広場 ー
必要最低限といっても多種類になってしまった石をそれぞれリュックに少しづつ手分けして背負い出発を待った、家族と挨拶を交わし離れたところに移動してもらった、影響がわからないため魔法は切ってもらっている
陵介がリープブレスを渡していく
「もう位置はセットしてある、俺がスタートをタップすると10秒後にリープ始まるからな」
それぞれ腕にはめながら、さすがに少し緊張感が漂っているブレスをしたほうの腕に無意識に力が入る、全員、両親がいる方を向き手を振った離れているので微かにしか聞こえないが
「動画いっぱい撮ってきてくれ」
「お土産たくさん頼むぞ」
的なことがうっすら聞き取れたので、皆、適当に頷いた
お互いが見えるように円になったところで陵介が
「いいか?スタート押すぞ」
ちょっと自信なさげな返事が帰ってくる
「「「「 …お、おぉ… 」」」」
右手に違和感を感じた海空がびくっとする
「ばっ…おい優弦お前、指絡めてくんなよ! あ?夏向さんまで、もうっ!」
海空の左手を握った夏向は手を離さず謝った
「女の子じゃなくてごめん、でも本気で怖いんだよこれ、ほとんど運なんだもん」
優弦も涙目で訴える
「マジこえぇんだって、さっき陵介さんにどんな仕組みでリープできるんだ?って聞いたらさ「さっぱりわかんねぇ、なんとなくだ」って言ったんだ」
「えぐっ、怖くね?絶対なんとなくじゃダメなやつだろ!ってか今言うなよぉぉ」
もうスタートは押されている光がまとわりついてふんわりと圧縮されているような感じだ
〈〈〈〈〈 こえーっ 〉〉〉〉〉
光の圧縮が大きく強くなる苦しくはないが体の感覚がなくなってくる、ところてんの容器から細長くどこかに押し出されているような感触だけなんとなく感じる、不安な気持ちから早く終われと全員が心の中で思った
ー ばしゃん ー
5人は状況が飲み込めずそのまま呆然とした
そこに庭の手入れをしているエプロンを着けた青年が声をかけた
「お帰りなさい、夏向さん、陵介さん…と、ゲストの皆さんいらっしゃい」
「野田さん…」
美月家の手伝いをしている野田をまだぼんやりとしている夏向が浅い滝壺から見上げた
陵介も我にかえり
「野田さん…ってことは戻れた!みんな揃ってるか?」
海空がよろめきながらビショビショで立ち上がった
「冷たいんだが?陵介さん着地点が何で滝なんだよ」
「あはは、悪いなミスった」
優弦と明澄はリープ酔いしたのかまだぼんやりしている
「あれ?おい平気か?夏向、この2人顔色悪いな」
「え?大変だ野田さんごめんタオルお願いっ みんなお風呂へ」
持ってきてもらったタオルにくるまりながら風呂に向かった