日和ってる奴はだいたい友達 ⑰

日和ってる奴はだいたい友達 ⑰

 

(了解)と美凪は明澄の前に立った

海空と優弦は壁側に並んでいる1人掛けソファで着替えながら様子を見ようと移動した

 

「えっとそうだな、、利き腕の肩に手をのせていい?」

「うん、よろしくね、僕はどういう状態でいればいいかな」

そばにいた夏向が説明した

「5世界で丞先生と製作したもののこととか頭に浮かべてもらえるかな、美凪くんの能力はさわってる相手が関わった物の工程をスキャンできるんだ、すぐ3Dデータにして作れるようにシンプルにはっきりだとすごくいいけど…難しいよね」

「いえ、僕はそういうの得意かも、美凪くん0世界の状況から優先順位が高く、取り急ぎ必要だと思ってるものが3つあるんだけど」

「ああ、だったら1つづつ頭に置いてくれればいいよ、1つスキャン終わったら肩を軽く叩くから次を出してもらうって感じでいいかな」

「夏向さん、優先順位勝手に決めてごめんなさい、急いでるなら絞ったほうがいい気がして」

「ううん、むしろありがと、助かるよ」

明澄は美凪に向き直り眼を閉じて1つ目の工程を鮮明に思い浮かべた

美凪は軽く肩を握った

「そのまま、じゃ始めるね」

美凪と明澄のまわりの空気が揺れて肌にまとい触れる感じがした、着替えながら陵介と話をしていた海空と優弦も変化に気づいて空気が揺らいだほうを見る

美凪は伏せていたペリドットのような瞳をゆっくりと動かす瞳の中の光が何かをとらえた、さわっている肩のやや上に目線をそらす

「嬉しくなるくらい鮮明だね、綺麗だ、人によってイメージのしかたってこうも違うんだね、しかも残像をまったく残さず次にいく、やりやすいな修正いらないよ」

眼を閉じたまま明澄は笑った

「イメージあってそうだね良かったよ」

「ああ、最高だよ細かい部分まで拾えたし終わったよ、繋がり切るね」

バチっっ、、皆驚いて肩をすくめた

美凪が手を離した瞬間、部屋中に響くほどの音と稲光のようなものが走った

〈〈 いってーっつっ 〉〉

「あー、ごめんな、俺、能力使うとなんか静電気すごいんだよ今日特にやばい!」

「夏向、いったん美凪くんが取ったデータ落とすか」

「そうだね、ちょっと行ってくる明澄くんも着替えてて」

そう言って3人は部屋を出ていった

 

明澄も壁側のソファに座って着替え始めた

渡された紙袋の中は意外と品数が多かった、ジャージ上下、Tシャツ、ハーフパンツ、コンプレッションレギンス、組み合わせはいろいろとできそうだ

先に着替えていた2人は制服を畳みながら話す

「下着とかTシャツとか買い足しに買い物連れてってくれるってよ、あと神社仏閣も連れてってくれるって楽しみだな」

「だよな、あ、スニーカーも5、6足用意しろってネット見て選んどくか、準備できしだいトレーニング行くって言ってたよな」

「おー俺ら強くなって魔法使えるようになれんのかなー」

〈〈 だといいよな、ははははっ 〉〉

「2人とも笑ってるけど靴5、6足もいるってやばくない?どんなトレーニングなの不安じゃないの?」

海空と優弦は顔を見合せた

「「いや?ない…」」

「むしろ楽しみなんだが?なんで不安?なぁ?」

お前不安か?という顔で優弦のほうをみる

「ああ、ほんとな、なんでだよ?お前運動神経いいじゃん」

明澄はそうだったと思いながら

「君ら未知なことに不安感じるタイプじゃないからね、、辛いの想像しないのね」

2人とも(う~ん?)という顔だ

「魔法教えてもらうのに筋肉とかエグいトレーニング必要ねえだろ、心配なくね?」

「そーそー、だとしても明澄はどっちかいえば武器製作とか手伝いたいんだろ?そっちメインでやればいいじゃん?俺らコツつかんだら教えるしさ」

「まぁ、どっちみち僕はそうなるだろうね」

(だな)頷きながら海空はソファに座って何か一点を見つめた

「な…明澄、勝手な頼みだけどさ、できるだけ協力してやってくれよ、危ねえとこ行ってる先輩達みると、なんだかな…落ち着かねえってゆうか」

服に腕を通しながら一瞬動きを止めた

「うん、わかってるよ、こっちの世界全然魔法ないみたいだし、そういう人がただの普通の武器持って迎え撃っても相手が魔法使えるなら絶対にかなわない、いま敵が少なくて滞在時間も短いのは向こうが開くゲートがこちらの世界と相性が悪くて大勢でこれないとか、理由があって長く開けないんだろうけど、調整が上手くいったら一気に攻めてくるかも、やばいよね」

「その通りだよ」

声に反応して3人はドアのほうをみた

「夏向さん…」

戻ってきた夏向と陵介が立っていた

「いま、俺達ね空海さん達に同行したりするけど足手まといなだけなんだ、、素手でとか銃とか剣とかあったとしても冷静に考えて無理だなって…一瞬で消されるなって思う、でも急に超能力のようなことできるわけないし焦るばかりだよ」

「明澄くんはさっきスキャンの時そのへん考えてくれたんだろ?サンプルできたらムダにはしねえよ使いこなしてみせるからさ、こっちにいる間協力たのむぜ、もちろん魔法習得にも協力するからさ」