日和ってる奴はだいたい友達 ⑤
待っている間、5世界の人にとっては嬉しくもない話をするのだからと不安な気持ちだったが、生まれ変わりの3人に会うのは楽しみで仕方なかった裏防衛省の中で彼らの呼び分けを¨うつしよ組¨と¨かくりよ組¨としていたのだが、かくりよ組の3人は最初から現代にいましたけど?と言わんばかりの順応性で、その3人の生まれ変わりはどんな人なのかとても興味があった。
いろんな考えを巡らせていると学生のざわついた声が聞こえてきた
丞が魔法でコーヒーを入れて2人の前に置いた
「ふふっ あの声は来たようですね」
ドアがノックされた、丞は魔法ではなく手でドアを開けた
「どうぞ、入ってください」
背の高い少年が3人、テーブルを挟んで夏向と陵介の前に横並びに立った
「っす」
「…す」
「失礼します」
3人とも怪しい奴が来たという顔つきだ
少年達を見て陵介はやっぱりと思っていた
〈 俺ってどこに行っても地味なんだなー 〉
0世界は昔、他世界と往来があったため色々な血が混じっている、様々な色の髪や瞳の人がいる陵介はあまり変色がないタイプであるし、職場では光を帯びて銀色に輝く髪、ラブラドライトのような瞳を持つ夏向を含む美月一族が見目麗しい、そしてこの5世界の綺麗な色彩で目の前に立つ少年達もそれぞれタイプの違うイケメンである、そんなときやはり自分の地味さが気になってしまうのだ
陵介はそんなことはさておきと何か言おうとした時、この中では一番真面目そうな生徒が嬉しそうに
「0世界って本当にあるんですね、ちょっと感動してます」
会えたことに嬉しくて少し固まっていた夏向が挨拶した
「突然ですみません、0世界の裏防衛省から来ました 美月 夏向です」
陵介の方をみる
「あっ、同じく 桜時 陵介です」
トッポくわえてた、生徒がへぇという顔で
「王子じゃない方が王子なんだね」
〈 くっ トッポ砕くぞ このやろっ 〉
「優弦、素直すぎじゃね?」
「いや、2人とも失礼でしょ てか優弦お菓子しまいなよ」
何やら悔しそうな陵介を夏向が心配そうにみている
陵介は苦笑いしながら
「座って話そうか、ちょっと聞いてもらいたいことがあるんだ」
椅子に向かいながら先頭の少年が2人を見て
「僕、日吉 明澄 (ひよし あすむ)です」
軽く会釈しながら2人も名乗った
「俺、伏見 海空 (ふしみ かいあ)」
「土御門 優弦 (つちみかど ゆづる)」
座りながら海空が陵介を見て丞に話しかけた
「ってことは先生、他世界へ行ける装置完成したのか?なんか親戚よんでるしな」
丞は笑って首をふった
「先越されちゃったよ、0世界で完成してたみたいなんだ、製作した人に会ってみたいな」
陵介が手を上げた
「ここにいます」
夏向を除いた皆が え? って表情になった
〈 何でそんな意外だって顔なの?会ったばっかでどいつもこいつも失礼なんだが?〉
丞が驚きながら
「そうでしたか、すごいですね後で話を聞かせてください」
ちょっとドヤ顔の陵介を横目に夏向が
「そうなんですよ、彼は凄くいいかげんですがそういう才能があるんです」
〈 いや言い方な…なんでディスったの?〉
装置の話が出たならばと夏向は少年達に左手首に巻いているブレスレットを見せた
「他世界にリープするリープブレスっていう装置ね、まだ量産できてなくて持ってこれたのはあと3つなんだ」
陵介がリュックからブレスレットを3つ取り出してテーブルに置いた
夏向は丞が入れてくれていたコーヒーを1口飲んで言葉を続ける
「丞先生から君達に概要はいってるみたいだけど、君達の前世、かくりよ組に会ってほしいと思ってここに来たんだ」